2019-05-21

競争


5月も半ば過ぎ、木々の緑が眩しい頃となりました。もうすぐ運動会という方もいらっしゃるかもしれません。

 

運動能力の高いお子様やその家族にとっては楽しみである運動会ですが、逆の場合、悲しい思いや悔しい思いを噛みしめるイベントでもあります。

 

教育実習の時のことです。いつもは優等生のAちゃんが、かけっこの練習の時にどうしても整列しません。何度か注意しましたが脱走をくりかえすので、きちんと並びなさいと少し厳しく叱ったら今度はわんわん泣きはじめました。

 

「どうして泣いているの?なんで並ばないの?」と指導教官がたずねると、「かけっこしたくない、運動会なんて大嫌い。」とさらに大きな声で泣き続けます。

 

前日の練習でもAちゃんはビリではなかったので、どうしてそんなに嫌がるのか不思議でしたが、頑張っても頑張っても1番になれないことがよほど悔しくて悲しかったに違いありません。

 

教官は、Aちゃんを抱きしめると、「Aちゃん、かけっこはね、お友達との競争だけではないんだよ。自分との競争なのよ。昨日の自分より早く走れたら勝ち、1番じゃなくても最後まで頑張って走れたら勝ちなのよ。泣いてるだけじゃ昨日より早く走れないから昨日の自分に負けちゃうぞ。」3歳児には、難しすぎる説明では?とも思いましたが負けちゃうぞの一言で、それは大変とAちゃんは涙を拭いて練習に参加。最後ま

1等賞にはなれませんでしたが、それからは運動会まで頑張って走っていました。

 

お友達との競争も大切ですが、昨日の自分との競争、1回目よりは2回目、2回目よりは3回目と段々上手になれるといいねと声掛けしたり励ましてあげるといいのかもしれません。レッスンのなかでも、その子なりに努力前進する気持ちを大切に育てていければいいなと思っています。                       (米田)

 

2019-05-21