2021-02-15

絵を見るということ

 チャイルド・アイズの概念の教材には、「絵を見てお話をする」というテーマのものが多あります。

「お話の記憶」「2枚の絵」「お話の順序」「お話の理解」「お話をつくろう」などで、年齢によって見る絵の枚数や絵の中に描かれる情報量が違っています。どの教材も、絵を見て想像し、物語を順序だてて構築する能力を刺激できるものになっています。

 この、「一貫した物語を作る」ために使われているのが「物語スキーマ」という心的用具で、起承転結の枠組みです。物語スキーマは4〜5歳になるとある程度機能を発揮できるようになるそうですが、たくさんの学者や先生方が研究をして、どうやら3歳くらいからでも、この機能を発達させられる事がわかってきたらしいのです。

 概念(知識量)がスキーマの潤滑油になる事や、知っている物語を自由に再生できるくらい物語を読む(聞く)とスキーマ能力が発達する、などです。

 子供達が物語を作る上でもうひとつ大きく影響するのが、絵本や教材の絵です。

 簡略化された絵よりも、具体的な細かい描写の絵が物語を作るのに役立ちます。

 3歳の子供は絵のあちこちを見る事を楽しみ、気になったところを軸にお話を想像するそうです。

 5歳になると、お話の筋を想像し、主人公を設定でき、その感情を盛り込めるようです。特に物語絵本の中にはたくさんの絵があり、「絵を隅々まで見て想像世界を豊かに深め広げていくことが、子供にとっての絵本の楽しみである」と結論づけているヒトがいます。

 「子供達の世界観を根底から支えているのは想像力であり、想像の世界を自分なりに現実化したいという欲求から創造性が生まれ、発明や発見に繋がっていく」と、その論文に書かれていました。

 「子供が文字を読めなくても、また 文字を覚えたあとでも、おとなが絵本を読んであげれば、その交流の温かさと共に物語を共有する楽しさを感じつつ、じっくりと絵を眺めて楽しむ体験を重ね、子供達の想像力が豊かになる」

 私はこれらを読んで、絵本や図鑑などの絵を見る事が、子供達の心を豊かに育てるためにとても大きな役割を担っているのだと強く感じました。

絵本や絵を見て、物語を作る想像力を思う存分に膨らませ感動する心を繰り返し体験すると、子供達の精神世界がどんどん広がっていくのですね。

 春休みになったら、ご家庭でも様々な絵、図鑑、絵本をお子様と一緒にたっぷりと楽しんでみてはいかがでしょうか。

 私も、概念の授業を通して子供達にたくさんの絵を楽しんで想像力を膨らませてもらえるように努めていきたいと思います。

 2021-2-15 北村