2020-01-07

不便さが育てるもの



昭和平成を駆け抜けて令和に入り、それも早2年目。金融危機や自然災害の不安なニュースが良いニュースより印象に残るような昨今です。

何が起こるかわからない時代の子育てですが、私の経験から、少しお役に立てばと思うお話をさせていただきます。
 
平成生まれの我が家の子どもたち。長男の幼稚園時代には、携帯電話が売り出されているものの、まだ持つことには特別感がありました。それが、6歳下の弟が幼稚園に入るころには、子どもから大人まで携帯を持つのが当たり前の時代になっていました。時代の変化は早いと実感したものです。ただ、我が家では、小学生のうちは子どもに携帯電話を持たせていませんでした。

長男が小学2年生の時、最寄りの駅で、学校で見たことのある1年生が泣いていたそうです。聞くと、「自分が持っている携帯電話からお母さんの携帯電話に電話がつながらない」と。息子が「公衆電話からかけてあげるから」と、お母さんの電話番号を聞こうとしますが、その子は番号がわからないと言ったそうです。息子は彼の携帯電話の発信履歴から番号を確認し、公衆電話から連絡を取る事ができました。1年生の男の子は泣き止み、家に帰って行きました。


 
また、あの2011年3月11日。私は学校行事で長男の学校にいましたが、急いで家に帰ろうと息子と駅に向かいました。しかし、電車は動いておらず、家族と連絡がとりたくても、携帯電話は繋がりません。どこの公衆電話にも長い列ができています。心配と不安で焦る私でしたが、息子が、「お母さん、こっち、こっち。」と袖を引っ張ります。彼が私を連れて行ってくれた人目につかない場所にある1基の公衆電話でした。もちろん、そこには誰も並んでいません。「どうして、こんな所の公衆電話を知っていたの?」と聞くと、息子は急に電話連絡をしたくなったら困るから、通学路周辺については、地元の人達に公衆電話の場所を聞いていたと言います。
 
この二つのエピソードは、「携帯電話を持たない」ところを出発点として、子どもが子どもなりに考えて備えた知恵と行動力を示すものです。
 
子どもがある程度大きくなってくると、子どもとゲーム、そして携帯電話との付き合い方が親の悩みに加わります。

新しい物、便利な物が出る度に、親は子ども達の「ほしい」「やりたい」という欲求との戦いが始まります。与えてしまえば、「お母さん、ありがとう!大好き!」なんて言葉が聞けますし、子どもが夢中になるものがあれば親も少し手が離れて楽ができるのも事実。

でも、メリット・デメリット、便利・不便だけでなく、「不便から得られるもの」や「便利から欠けていくもの」がないか、少し立ち止まって考えてみませんか。

子どもたちには不便さに負けない知恵や対応力を身に付けて、今を生き抜いてほしいと願っています。


(深見)

2020-1-7
 

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