新緑の美しい頃となりました。お子様方も入園、入学、そして進級と四月からの新しい環境にもそろそろ慣れてきた頃でしょうか。
お教室には、体験をはじめ母子分離できずに泣いてしまうお子様が時々いらっしゃいます。遠い昔、私の娘も元気に幼稚園の前までは通うのですが、そこから先にどうしても泣いて入れない日々が続きました。あの手この手で作戦を立て、厳しく諭したり、優しく誘ってみたり、早く寝かせたり、早めに登園させたりとありとあらゆる試みにも、先生が入口まで迎えにいらっしゃると大泣きしてしまい、途方に暮れたことを思い出します。
暫くすると先生が泣き止まない娘を連れて戻るので、私は入園してから2か月くらい、登園後、園の玄関におりました。初めは数人いた中に入れなかった子ども達がどんどん減り、とうとう娘ともう1人のお子さんだけの2組の親子になってしまいました。
大声で泣く娘も可哀想ですが、私の育て方が悪かったのかしらと悩み、どうしたら良いのか分からず、私も一緒に泣きたいくらいでした。仕方がないので、園の玄関で絵本を読み聞かせることにしました。初めは娘のために読んでいたのですが、もう1人のお嬢さんも隣にちょこんと座って聞くようになりました。
2人とも絵本が大好きで、どんどん本棚から絵本を取ってきました。私も暇なので、いつもよりゆっくりじっくり心を込めて読み聞かせを楽しんでしまいました。そのうち、園庭で遊んでいた他の子ども達も集まって来て、読み聞かせの会のようになっていきました。大勢の園児から次から次に本を渡され、みんなで笑ったり、驚いたり、どうなるのかな?とお話の世界に入りこんで時を過ごしました。娘達も少しずつ皆の中にとけ込み、大勢のなかで一緒に過ごすことができるようになっていきました。
先日幼稚園からずっとお付き合いのあるママ友から、うちの娘はあれから絵本や本が好きになったような気がするわと言われ、そんなこともあったなと懐かしく思い出しました。娘もすんなり教室に入れなかったせいで、絵本を読む楽しみをおぼえ、本が大好きになったような気もします。人間万事塞翁が馬という故事がありますが、何が幸いするか本当に分からないものです。
お教室に入れないお子様のお母さまは、不安に思ったり、焦ったりなさることと思います。けれど、永遠に泣いている子どもはいません。お教室でも、お子様の成長に合わせ皆が楽しく通えるように努力しています。母子分離は焦らないことが大切かもしれません。子育ての遠回りは、終わって振り返った時、子育てを感慨深い豊かなものにしてくれるような気がします。
2017-5-23
